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「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ」から「こわれゆく女」を観る。

2012/6/22(金)雨のちくもり


渋谷のシアター・イメージフォーラムで、「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ」が6/29(金)まで上映中だ。前から行こうと思っていたのだが、今日ようやく1975年公開の「こわれゆく女」(ニュープリント)を観てきた。20時の回だったが、なんと9割がた席が埋まっていた。

昔観たような気もする「こわれゆく女」だが、内容はほとんど覚えていなかったから初めて観たのかもしれない。何気ない日常を執拗なクローズアップを挟みながら撮影された映像に導かれ、観客は癖のある中年夫婦の家で起きる出来事に否応なく引きずり込まれる。

話のほとんどは、夫婦の家の中で起きる。元々は芝居のための脚本として書かれただけあって、一般的な映画の必須要素である移動シーンが少ない。夫婦のコミュニケーションのすれ違いによって、妻だけでなく夫もおかしくなっていく。そこに子どもや親族、仕事仲間が巻き込まれていくという話。主役のジーナ・ローランズだけでなく、イキイキと生命そのもののように輝く子どもたちの姿にも注目だ。

カサヴェテス映画の例によって、いろんな人が好き勝手に喋り続け、めまぐるしい日常が淡々と映し出されるだけで、特別なことが起きるわけじゃない。なのに目が離せなくなるのは、自分が体験したことじゃないのにリアルだと思わせる脚本、どこにでもいる登場人物たちのギリギリの状況から滲み出るユーモア、俳優の鬼気迫る演技、本当に目の前で起きていると錯覚させるカメラワークのせいだ。

「こわれゆく女」は全体的に長過ぎるし、爽快な気分になるわけでもなく、最後に問題が解決するわけでもない。本物のインディー映画を観たことのない人には、ちょっとこの生々しさは辛いかも。しかし、最初の公開から35年以上経っているのに、何の古さも感じさせない堂々とした風格にはただ圧倒されるしかない。

見終わった後に「やっと戦いが終わった……」と安堵する一方、酒を呑みながらじっくり反芻したくなる。笑えるシーンもたくさんあるのに、今日の客席はシーンとしていた。深刻な状況ほど笑えるのものはないのになぁ。近いうちにもう一度映画館に足を運んで、まだ観たことのない「ラヴ・ストリームス」を観たい。


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