書籍・雑誌

ケン・シーガル「Think Simple アップルを生み出す熱狂的哲学」刊行記念セミナーに行って感じたこと。

2012/5/26(土)晴れ

今週の水曜日、5月23日に六本木ヒルズのアカデミーヒルズで行われた、ケン・シーガルの著書「Think Simple アップルを生み出す熱狂的哲学」の刊行記念セミナーに行ってきた。シーガルはTBWA\CHIAT\DAY社のクリエイティブ・ディレクターとして、NeXT時代からスティーブ・ジョブズと共に12年にわたって仕事をしてきた人物。

僕は彼のことを全く知らなかったが、1997年の"Think Different キャンペーン"と、"iMac"のネーミングの功績によって、ジョブズの信頼をつかんだのだという。下の"Think Different"のCMは、実際には放送されなかったジョブズ本人によるナレーションのバージョンである。今の20代の人たちはこんなCMがあったことすら知らないかもしれない。今見てみると、とてもYouTube的だ。

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こんな本に出会えてよかった。「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」。

2012/5/24(木)晴れ


前回紹介した本「BORN TO RUN」のP.204に、こんな一節があった。

ジェンはビート詩人をひどく崇拝し、大学に戻って学位を取ったら、ジャック・ケルアック・スクールでクリエイティブ・ライティングを学ぶつもりだった。そんなとき、彼女はランス・アームストロングの『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』を手に取り、新手の戦う詩人に恋をする。

 ランスはただの野蛮な自転車乗りじゃない、とジェンは悟った。彼は哲学者、現代のビート族、霊感と“純粋経験”を求めてアスファルトの海を航行するダルマ行者(バム)だ。

こんな紹介を読んだら、もう読まずにはいられない。今日読み終わったが、「BORN TO RUN」を超える感動の物語だった。

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David Lynchが創作と瞑想について語った本、「大きな魚をつかまえよう」。

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2012/4/18(水)晴れのちくもり

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大きな魚をつかまえよう―リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン

最近はミュージシャンとしての活動も話題になっていたデビッド・リンチ。書店でふとこんな本を見つけ、手に取ってみたら面白かったので購入。本の副題には、「リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン」とある。

ビーチボーイズやビートルズが好きな人なら、"Transcendental Meditation"という言葉は知っているだろう。ビーチボーイズにいたっては、それがそのまま曲名になっているもある。ビートルズがインドに行った時に瞑想を習ったのが、この「超越瞑想」のマハリシ師だ。

昔読んだあるビートルズの伝記には、マハリシ師が彼らと一緒にいた女の子たちにセクハラしようとしたことに幻滅し、袂を分かったと書いてあった。おかげで多くの人がそう信じ、怪しげな団体だと思っていたはずだ。

ところがこの本の帯では、ポール・マッカートニーが瞑想の効用について語っているのだ。実は悪いのはマハリシ師ではなく、ビートルズの誰かが道場にドラッグを持ち込んだので、マハリシ師に追い出されたのだとも書いてある。下記のビデオでは、リンチがポールに瞑想についてインタビューしている。



↑スティーブ・ジョブズの愛読書(僕は未読)。自分のiPad2にダウンロードした唯一の本だという。

60年代にドラッグで意識の拡張を図ったヒッピーたちが次に向かったのが、"ZEN"やヨガ、瞑想だった。ヨガや瞑想は一過性の流行を超えて世界中に広まった。リンチはもう33年以上も朝晩瞑想を欠かさないのだとか。

僕自身、ヨガのクラスでマントラを唱えたり、瞑想をやってみようとしたことはあるが、本書でリンチが書いているような境地(純粋意識、純粋認識とある)に達したことはない。瞑想をやっている友人にも少し話を聞いたことがあるが、慣れるととても気持ちよく感じられるものらしい。

超越瞑想の是非については何とも言えないが、この本のリンチの言葉は素晴らしい。リンチの映画が好きな人なら絶対に気に入るはずだ。特に僕が気に入ったのは、リンチが使う比喩のセンス。いい創作アイデアを得ることを、「大きな魚をつかまえるようなもの」と言う。あっという間に引き込まれる。

各項目の冒頭に引用されるウパニシャッドの言葉もすごくいい。全体的に、老子の本を読んでいるような安心感がある。この本を読むこと自体に、瞑想効果があるのかもしれない。

リンチが答える超越瞑想のQ&A。それにしてもリンチの喋り方は……催眠術っぽくてヤバいよねぇ(笑)。

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「ブログ誕生」を読む。

11/28(火)くもり


ブログ誕生 ―総表現社会を切り拓いてきた人々とメディア ブログ誕生 ―総表現社会を切り拓いてきた人々とメディア

著者:スコット・ローゼンバーグ

販売元:エヌティティ出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

『ブログ誕生 - 総表現社会を切り拓いてきた人々とメディア -』(NTT出版)を読んだ。人気ブログ「小鳥ピヨピヨ」で絶賛されていたのに興味を持ったのと、最近またブログに対する興味が再燃していたので買ってみた。誰かに何かを伝えたいときに、ツイッターやフェイスブックではいまいち満足できないとも最近感じていた。というのも何かを発信しようとする瞬間に相互性は不要で、他人の意見をシャットアウトして書かなければいけないので、それには今更ながらブログが一番だろうと思ったのだった。

この本は、アメリカでブログがどんな風に一部の人々を熱狂させ、徐々に認知され、社会に役立ったのかを考察している。日本のブログ事情については一切出てこない。本の原題は"Say everything"。こちらのほうが内容に即している。自分を晒す、自分の好きなものを晒す、言いたいことを言う。それがブログの基本原則であり、誰かに伝えたいというピュアな情熱こそが書き続ける原動力になる。ブログの登場によって、たくさんの無名の人たちが自分の意見をいつでも発表できるようになった。アメリカで起きたその影響は、日本では考えられないほどの波及効果を産み、大統領選を左右するまでにまで及んだ。まさにパンク的なインパクトを与えたわけだ。

日本ではどうかというと、ブログはアメーバなどを中心に有名人や若い世代が自分のメディアとして、日記&プロモーション的な役割で活用しているようだ。即効性で言えば今はツイッターなのかもしれないが、信頼できる情報源という意味ではブログのほうが多いかもしれない。僕も雑誌はあまり買わなくなって久しいが、ブログは毎日チェックしないと気が済まなくなっている。ウェブなんてろくな情報がないと言われていた時代から、いつの間にか面白いブログがどんどん増えて、自分にとって有益な情報が日々アップされる場所になった。

長い本なので要約はできないが、ブログというものがどうやって世界を変えていったのか、その流れはおおよそ理解できた。今や音声ならPodcast、音声と映像ならUSTREAMと、無料でアイデアを表現できるツールはいろいろある。それでもブログはしばらく生き続けるだろう。音声ファイルや映像ファイルはブログエントリーの中に張り込めるし、何かを調べたり知りたい時に最初にあたるのは文字情報だからである。

僕も何のために書くのか分からなくなり、ブログなんてなくてもいいかと思ったこともある。それでも自分がこうして続けているのは時折どうしても書きたいことがあり、見知らぬ人に向けて何かを伝えたいと思うからだ。どんな人にも世界の誰かに伝わる言葉を書ける唯一の場所であり、そんな可能性を持った人類初のメディアがブログなのだと思うと、グーテンベルク以来の発明と言ってもまんざら大げさでもないのかもしれない。

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ECD「何にもしないで生きていらんねぇ」

3/29(火) 晴れ

何にもしないで生きていらんねぇBook何にもしないで生きていらんねぇ

著者:ECD
販売元:本の雑誌社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ECDの新刊。
どっかで前に読んだことがあるコラムもあったが、久々にECDの文章が読めて嬉しい。
P.272の「ECDECADE」がいいんだなー、泣けるんだよ。
これ新曲なのかな。
あえてここに引用しないので、本買って読んでください。

もうしばらく彼のライブに行ってない。
ECD BBSがあった頃はライブ情報をすぐ手に入れられたのだけど。

今では二児の父だもんな。
人生は素晴らしい。

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四方田犬彦『月島物語ふたたび』(工作舍)

1/23(日) 晴れ

PX 70 Color Shade First Flushを持って、東京湾方面をブラブラ。
江東区に引っ越してきてから、下の方には豊洲までしか行っていない。
お台場は興味ないし、散歩に適した場所がなさそうで。
それでも一度ぐらい行ってみるか、と木場から辰巳、新木場まで行ってみた。

見事なまでに何もなかったなー。
辰巳埠頭で海見られるかなと思ったら、駐車場になってて中には入れない。
結局、ageHaまで行って、新木場駅から月島へ。
佃で写真を撮って帰ってきた。

月島といえば少し前に届いた、四方田犬彦の『月島物語ふたたび』は面白かった。
四方田さんと言えば、ポール・ボウルズの翻訳やエッセイ『モロッコ流謫』を読んだことがある。
その他にも、あちこちで彼のコラムを目にした記憶がある。
彼は昔、数年間月島に暮らしていたそう。
この本の版元の工作舍も、昔は月島に会社があったそうだ。
旭倉庫の看板にまだ社名が出てたけど。

月島に古い長屋が残っているのは、第二次大戦の空襲でほとんど被害がなかったかららしい。
僕が住んでいる深川あたりは全滅で、このへんのおじいさん曰く、
たくさんの死体が折り重なって積もっていたそう。
それがつい65年前ぐらいのこと。
僕がよく通っている相生橋は、1903年にできたそうだ。

国の富国強兵政策のため、1892年に隅田川の土砂を集めて埋立地にし、
造船所や機械工場にたくさんの労働者が集まって働いていた、
それが月島という場所だった。
まだ100年ちょっとの歴史しかない場所だったのだ。(佃島はもっと古い)
それが今では、古き良き下町の象徴的存在になってるという不思議。

今ではもんじゃのお店が集まる観光地だけど、
僕はこの町がなんともいえず好きなんだなぁ。
海に囲まれた島にいるっていうのが分かるからかな。
橋を渡らないと余所に行けないのが面白いのかな。
いや、単純に月島っていう名前が好きなんだと思う。

月島物語ふたたびBook月島物語ふたたび

著者:四方田 犬彦
販売元:工作舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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村上春樹ロングインタビューを読む。

考える人 2010年 08月号 [雑誌] 考える人 2010年 08月号 [雑誌]

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する


新潮社『考える人』(2010年夏号)を買う。
村上春樹のロングインタビューを読むため。
箱根に2泊3日で行われたというこのインタビュー、かなりのボリュームだ。
冒頭でインタビュアーは『1Q84』の謎解きをするわけではないと前置きしつつも、
宗教やセックス、愛など、最近の作品に出てくるテーマについて
村上春樹から様々な答えを引っ張り出している。
(※『1Q84』未読の方は読むのをお薦めしない)

いろいろ面白い箇所はあるけれど、例えば下記の言葉。

「でも原理的なことを言えば、読者だってそんなことに負けずに、自分なりに深く読み込めばいいんです。そうすれば、その人なりの世界がひとつ立ち上がってくるはずです。「おれのほうがBOOK3はもっとうまく書けたぜ」という人がいてもおかしくない」

『1Q84』の面白さ、ユニークさの一つは、
読者それぞれの独自の読み方ができる広がりがあることだと思う。
ストーリーに鏤められた謎は、単にサスペンス的な要素として機能するのではなくて、
謎と謎の関連性・重層性を読者にイメージさせるためにある。
だから作品を読み終えると深い余韻が残るし、また読み直したくなるのだろう。

春樹好きの人は読んで損はしないインタビューだと思う。
僕の場合、これを読みながら、もし自分が今後万が一、
村上春樹にインタビューする機会に恵まれたら、何をどんな順番で訊くだろうかと考えた。
もちろん、インタビューより作品を読み込んだ方が実りはありそうだけど。

『1Q84』は僕にとって個人的に、ある重要なことを考えさせる特別な作品になった。
いつかそれについて、自分なりに考えをまとめた文章を書いてみたい。
後になって、『1Q84』を読んだ、2009-2010年が自分の大きな転機だったと思うかもしれない。

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新井順子「ブドウ畑で長靴はいて」を読む。

ブドウ畑で長靴をはいて―私のロワール・ワイン造り奮闘記 ブドウ畑で長靴をはいて―私のロワール・ワイン造り奮闘記

著者:新井 順子
販売元:集英社インターナショナル
Amazon.co.jpで詳細を確認する

去年の秋・冬は日本酒にハマっていたのだけど、
今年は赤ワインにまた夢中。
といっても2000円以下の安ワインしか飲まないけど。

本書はワインづくりに関する本の中でもかなり珍しい部類に入る本。
なにしろ、自由が丘でフレンチのレストランをやっていた日本人女性が、
突如フランスのロワールに行ってブドウ畑を買ってしまうという話。

この本を読んで改めて分かったことは、
結局自分はどんな本であろうと驚きと感動を求めていて、
自分の欲望や理想に全力を注いでいる人たちが好きなんだということ。
自分が今そうできていないから余計そう思うのかな。

常識や権威を疑うということも、本書の重要なメッセージ。
フランスがワインの本場だとはいっても、世界中どこでも商売が優先するのは同じこと。
ところが著者の新井さんは周りのワイナリーに何と言われようと、
自分のいいと思うやり方を貫き通しつつ、協力者たちを仲間にしていく。

全てはおいしいワインをつくるため。
仕事の動機はシンプルなほどいい。
とにかく、ワインが好きな人は必読の本。
これから何度も読み返すことになりそうだ。

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池澤夏樹「世界文学を読みほどく」

世界文学を読みほどく (新潮選書) Book 世界文学を読みほどく (新潮選書)

著者:池澤 夏樹
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

図書館で何気なく手にとった一冊。
サブタイトルに、「スタンダールからピンチョンまで」とある。
これが「スタンダールからヘミングウェイまで」だったら手に取らなかった。

本書は書き下ろしではなく、
2003年に京都大学文学部で行われた夏期特殊講義の講義録。
堅いタイトルだから全くキャッチーではないけれど、これが滅茶苦茶面白い。
新潮社は売る気がなかったのだろうか。

スタンダール、ドストエフスキー、トルストイ、トウェイン、メルヴィル、
マン、ジョイス、フォークナー、ガルシア=マルケス、ピンチョンといった
世界の有名作家の一作品について、学生にも分かるように語っている。

本書を読み終えて思うことは、「文学」というネーミングのせいで
多くの人は文学を読まないのではないかということ。
勉強が必要な小説、面倒臭い小説が文学だというイメージが出来上がったのだと思う。

同世代の優れた作家の小説を読めるのは、今の時代に生きる者の特権だ。
最近起こっていることを題材にしているわけだから、読む方も入りやすい。
だが、スムーズに読めるものが自分の身になるとは限らない。
むしろ、悪戦苦闘しながら読んだ作品の方が記憶に残るものだ。

時を超えて読み継がれている作品には、それだけの強さがあり、
国境を越えた面白さがあり、それらが全て現在に繋がっていると池澤夏樹は教えてくれる。
混沌として先が見えない今のような時代こそ、
こうした世界文学の中に生きるヒントがあるはずだ。

インターネットに時間を費やしている暇があったら、
もっと面白い本を読みたいと切実に思わされた読書体験だった。
池澤さんに感謝。

ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫) Book ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫)

著者:池澤 夏樹
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

池澤さんの著書で他にオススメしたいのは、これ。
アメリカにいる友達に薦められた本で、昨年ハワイへ行く前に読んで感激した。

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THE BIG ISSUE ビッグイシュー日本版

Pic_cover

渋谷や新宿で、おじさんが冊子を片手に高く上げて立っているのを
見たことのある人は多いと思う。
よく見かけるのに、それが何だか分からないまま、というものが世の中にはあるが、
僕にとってはこのBIG ISSUEがそんな存在だった。
彼らは何をしているのだろう? まあどうでもいいか、と。

ホームレスの自立を支援するためにつくられた雑誌ということを知っていたとしても、
あえてそれを買ってみようと考える人は少ないかもしれない。
何しろ、それを売っている人たちは特に声を出すわけでもなく、
ただ雑誌を持って立っているだけだからだ。
そこで立ち読みさせてください、とも言いにくい。

僕がBIG ISSUEを買うようになったのは、
付き合っていた彼女の家にあったから。
会社の近くでいつも売っている人がいたので、買ってみたと言っていた。

これが街でおじさんが売っているアレだったのか、と思いながら
何気なくページをめくってみると、すごく面白い。
普通の雑誌やフリーペーパーとは違う独自の視点が多く、
デザインも洒落ていて読みやすい。
正直、もっと早く買っていれば良かったと思うほどだった。
最初に買うときには多少の勇気が要るが、今では新しい号が出るのを楽しみにしている。

しかも、売価300円のうち、160円が販売者の収入になる。
一日10冊でも売れれば、そこそこのものが食べられるだろう。
買う側も、特に彼らを支援したいという強い意志がなくても、
雑誌を買うことで彼らの自立に多少役に立つことができる。
素晴らしい仕組みだと思う。

巻頭の連載「私の分岐点  My Turning Point」は、いつも読みごたえがある。
最新号の128号には菊地成孔が出ていて、とても面白かった。

もし通勤途中でおじさんたちに出会ったら、一部買ってみるのをオススメする。
一度読んでみれば、損したなーとは思わないはずだ。

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